3Dプリンタで触れる錯視立体【数学嫌いな子どもにおすすめ】
私たちの目は、ありのままを見ているつもりで、実際とは違うものを「見ている」ことがあります。これを錯視といいます。
今回は、3Dプリンタでつくった錯視立体をご紹介します。
ちらっと見ていただくだけで、私たちの脳がどれだけ騙されやすいかおわかりいただけると思います。
錯視はアートだけではなく、数学、さらには生活にも関係するものなのですよ。
目次
3Dプリンタでつくった錯視立体
立方体が置いてあります。
実際は……
こちらは右向きの矢印。
くるっと回転させます。
しかし再び右向き。
鏡の前に置くと、矢印の向きが鏡と違いますね。
矢印の形状をよくみると、片方だけが隆起する形状になっています。隆起した部分が手前にくると、矢印の形状だと脳が錯覚するのですね。
こちらも立体錯視です。手前は丸いのに、鏡の中のものは花の形になっています。
回転させると、
手前が花の形になりました。これも秘密は形状にありました。
実際は丸形でも花形でもなく、不規則な形状をしています。
動画をつくりました
動きを確認したい方は動画をご覧ください(短いです)。
このような錯視立体は、以前は紙工作で作られていましたが、現在は3Dプリンタが活用されています。
錯視立体の設計には、方程式が使われており、数学を理解しないとこれらの錯視立体を設計することはできないようです。
錯視立体は生活にも関係する
錯視立体はアートでもありますが、「安全」にも関係します。
こちらの動画を見て、錯視は面白いだけでなく、「目が錯覚するのは怖いな」と感じました。
車を運転している時、遠くに見える上り坂が実は下り坂である可能性がありますよね。
私は車を運転しないのでわかりませんが、この動画を見ると、その可能性が十分にあることがわかります。
車の運転時や外を歩いているときなど、「実際とは違って見える」というのはリスクであり、交通事故の原因となりえます。
そのため、錯視立体はどうすれば錯覚を起こさないか、という研究にも使われています。
動画にも登場しますが、この錯視は、車の運転時に遭遇しそうですよね。
👇これなんて、なぜこうなるのかわかりません。
4歳児の反応
子供に3Dプリンタで作った錯視立体を見てもらいました。
4歳ですので、念のため、「鏡の中にうつるものって本当は同じになるはずだよね」と別のモノで確認してから、錯視立体を見てもらいました。
「鏡の中のもの、違うものになっているよ」と言いながら、矢印をくるくる。不思議そうにしていました。
夫は「えっ、えっ、なんで!?なんで!?」という反応でした。
錯視立体は、算数・数学がきらいなお子さんにいいかもしれませんね。
「学ぶ意味がわからない」と言われがちな数学ですが、錯視立体を見たら、数学に興味を持つ子も増えると思います。
錯視立体の3Dデータの探し方
おなじみのThingiverseにたくさんあります。
「optical illusion」で検索した結果はこちらから見られます。
※Thingiverseは会員登録なしで無料でダウンロードできます。
数式を理解できないとモデリングはできそうにありませんので、私のようにモデリングできない人には無料の3Dデータはありがたいです。
紙工作で楽しめる錯視立体の本がありましたので、購入しました。
錯視立体を体験できるイベント
明治大学で現在、錯視を体験できるイベントが開催されています。子供を引き連れて参加してきます。
開催情報は下記のとおり。
特別展「見えているのに見えていない! 立体錯視の最前線」
会期 | 2019年7月13日(土)~9月8日(日) ※8月10~16・18日は休館 |
会場 | 明治大学博物館 特別展示室 |
開催時間 | 10:00~17:00(入館は16:30まで) |
料金 | 無料 |
開催イベント | 【ギャラリートーク】 7月17日(水) 8月23日(金) 9月5日(木) いずれも14:00~ 講師:杉原厚吉先生(明治大学研究特別教授) 事前申込不要 |
私が知らなかっただけでいろいろな本が出版されていました。
錯視立体の理論を詳しく知りたいかたは、杉原先生の論文をどうぞ。
Design of solids for antigravity motion illusion
【参考】