放射線でがん細胞が死ぬ理由

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放射線治療では放射線を体の中、または体の外から患部にあてて「がん」を治療します。

今回は、放射線をあてるとがん細胞が死ぬ理由について着目してみたいと思います。

 

放射線治療の2つの作用

放射線には「直接作用」と「間接作用」の2つの作用があります。

 

①直接作用とは?

まず電離と励起について。

放射線が原子や分子にぶつかると、原子の一番外側の電子を弾き飛ばしてしまいます。そして、自分の持っているエネルギーの一部をこの電子に与えます。このように、外側の電子が原子の外までたたき出されてしまう現象を電離といいます。

また、放射線により電子が原子から飛び出さないものの、1つ外側の軌道に移ることを励起といいます。電気的には中性のままですが、原子は興奮状態になります。電子が放射線からエネルギーをもらったけれども、飛び出すほどではないようなはね飛ばされ方、といえます。道を歩いていてぶつかられて、むかっとしたけど、我慢しているような状態でしょうか。

放射線のエネルギーが標的分子(この場合はがん細胞のDNA)に直接吸収され、標的分子が電離または励起すると、余分なエネルギーを持つため不安定になります。この余分なエネルギーを放出する過程で、DNAの共有結合が切れます。つまり、がん細胞のDNAが切断され、がん細胞が細胞分裂できなくなり、死に至ります。

 

②間接作用とは?

標的分子であるがん細胞のDNAではなく、水分子が放射線からエネルギーを吸収しラジカルを発生させ、これががん細胞のDNAに損傷を与える場合を間接作用といいます。ラジカルはDNAと反応して直接作用と同様の損傷を与えます。

ちなみに、電離が起きて、原子の外に飛び出した電子を二次電子といいます。下図の水色の「e-」は二次電子を表しています。

 

当初はDNAに放射線を照射すれば(直接作用により)細胞は死滅すると仮定されましたが、乾燥状態で放射線を照射した場合と、水溶液状態で照射した場合とで、必要な放射線が、乾燥状態では水溶液状態の約10~100倍必要なことから、直接作用だけで説明するには無理があることがわかりました。生体の約80%は水分子で構成されており、放射線をあてることで、水が電離、励起し、生じたラジカルが細胞のDNAに作用して、がん細胞を死にいたらせる間接作用が存在することで上記の違いも理解できますね。

 

直接作用と間接作用の比率は放射線の種類により異なりますが、約3分の2は間接作用によると考えられています。具体的には、X線、γ線、電子線では間接作用の寄与が高く重粒子線、中性子線、α線では直接作用の寄与が高くなります。

 

参考資料:

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