これなら誰でもわかる!MRIの原理を超わかりやすく説明してみた

小学校、中学校の頃のこんな光景を目にしたことがあると思います。

先生が教室に来るまで、教室はみんなが好き勝手に話して喧騒状態。

先生が教室に入った途端、生徒はおしゃべりを止め、教師は一瞬で静かに。

先生が授業で使用するプリントを忘れ、職員室に戻ると、教室は再びおしゃべりする生徒の声でにぎわう。

 

これ、よくありました。

学級委員のゆういち君が「静かにしろよ!」と叫んでも、みんな楽しいおしゃべりに夢中で聞こえない様子。

一見、わいわいとした教室ですが、よく見ると、
ふざける生徒、真面目に自習に取り組む生徒、様々なタイプがいることに気づきます。

ゆみこちゃんは静かに本を読み、

こうすけ君とたろう君はキャッチボールを始め、

けんた君は席を立って、踊り始める。

学級委員のゆういち君のコントロールが効かない状態ではありますが、

みんなそれぞれの「動き」をしています。

 

そこへ、プリントを持った先生が戻ってきて一言。

「静かにしろ!」

すると、教室はたちまち静かで秩序ある状態に戻ります。

先生は先ほどまでの喧騒に顔をしかめながらも、授業を開始。

 

授業終了を知らせるチャイムが鳴ると、教室は再び騒がしくなります。

こういうこと、よくありましたよね。

 

実はこれ、MRIの原理を理解する上でヒントになるのですよ。

MRI(核磁気共鳴画像法)とは、健康診断で使われる医療機器です。

えっ、あのMRI?と思われますよね。

MRIの原理をわかりやすくイメージしてみよう

MRIの原理について、私も色々資料を読みました。

どの資料にも、スピン、プロトン、磁場などの言葉がでてきてわかりづらいのは確かです。

「要するにどういうことなの?」

今回は、この問いについて、小学生でもわかるように説明してみたいと思います。

MRIを理解するための前提条件は、授業参観です。

登場人物は、

先生

生徒

 

 

【1】

生徒が好き勝手におしゃべりしてにぎわっています。

【2】

先生が教室に入ってきて、「みなさん、今日は授業参観ですよ」といいます。

それでも、一部の生徒はコソコソ話をしています。

【3】

生徒の親が教室に入ってきます。

自分の親が教室に入ったか振り返って見る生徒たち。

「では、授業を始めます」

先生の一言で、コソコソ話の声も聞こえなくなりました。

【4】

チャイムが鳴り、授業終了。

教室は再びにぎやかに。

 

MRIに置き換えてみると、

先生=磁場

生徒=プロトン

親=電磁波

となります。

 

MRIは体内に6~7割ほど存在する「プロトン」が提供する“データ”をもとに、画像を生成する方法です。

プロトンとは、原子核にある陽子を指しますが、MRIでプロトンという場合は、水素原子の陽子を指しています。ここではプラスの電荷をもつもの、と簡単に考えていただければOKです。

先ほど見たように、

【1】で生徒は、先生や親がいない状況では、好き勝手に行動していましたよね。

生徒に相当するプロトンも同じです。

プロトンはそれぞれがバラバラに動いています。

出典:Magnetic resonance imaging in primates.

 

そこへ、先生(磁場)がやってくると(【2】)、

バラバラだったプロトンが一斉に同じ方向に向きます。

出典:Magnetic resonance imaging in primates.

さらに、親(電磁波)がやってくると(【3】)、

いいところ見せたい(または夜怒られたくない)という緊張感で、

さらに姿勢をピンと正し、授業に集中します。

この時、生徒(プロトン)は、親(電磁波)が見ているという緊張感から、

ある種のストレスエネルギーを受け取っています。

出典:Magnetic resonance imaging in primates.

 

そして、授業終了。

親は帰り、先生も職員室へ戻りました。

生徒(プロトン)たちは、ためこんでいたストレスエネルギーを一斉に発散し、

各々、居心地のよい状態へと戻ります。

出典:Magnetic resonance imaging in primates.

このように、MRIでは、

プロトンに磁場と電磁波を与え、バラバラだったプロトンの向きを特定の方向へ向けています

電磁波を与えるのを止めると、プロトンが吸収したエネルギーが放出されます。

 

生徒によって、真面目な子、ふざけた子と、性格がばらばらのように、
プロトンも、部位によって、エネルギーの吸収のしやすさ、エネルギーの放出のしやすさが異なります。

プロトンのエネルギー吸収・放出の「差」を利用して、部位毎の状態を観察するのがMRIなのです。

具体的には、

プロトンに与えたエネルギーが失われ、元のプロトンの状態に戻っていく過程を「緩和」といい、
この戻り方の速度の差に着目しています。

 

体内でプロトンを含むものとして、

水分子脂肪があります。

水分子はエネルギーを吸収しにくく、
脂肪は原子がたくさんつらなっているため分子量が大きく、エネルギーを吸収しやすくなっています。

先ほどの例では、

先生が不在でも真面目に自習に取り組むゆみこちゃんは水分子


先生がいないとすぐに踊り出すけんた君は脂肪

と考えることができます。

ゆみこちゃんにとっては、親がいようがいまいが、真面目に勉強するのは当たり前。

ですので、受け取るストレスエネルギーは少ないのです。

一方、けんた君は親がいると、落ち着きません。じっとしていられない性格なので、ストレスエネルギーも多くなります。

 

電磁波がなくなる、つまりストレスエネルギーがなくなると、

各プロトンはエネルギーを放出して、元の状態に戻っていきます。

この時放出されるエネルギーを「信号」として受け取って、画像にするのがMRIの原理となります。

 

MRIのもう少し細かいお話については別の機会に記事にしたいと思います。

 

参考:

https://www5.dent.niigata-u.ac.jp/~nisiyama/MRI-15-min.pdf

公開日:2019年1月5日