3Dプリンタのラフトはなぜ必要?凹凸面の謎に迫る

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3Dプリンタで印刷するときに、ラフトの設定を忘れ、造形に失敗したことはありませんか?

私も、うっかりラフトの設定を忘れ、気づくと造形物がプラットフォームから剥がれてしまったことがあります。

今回はラフトが必要な理由と、なぜラフトは凹凸構造になっているかについて考えてみました。

ラフトが必要な理由

ラフトは、3Dプリントするときに、造形物の土台となる部分です。造形物の底面積よりも、大きい面積で印刷されるうすい層です。

出典:wiki.cac.washington.edu

ラフトの目的は、プラットフォームとの接触面積を大きくし、造形中に造形物がプラットフォームからはがれないように安定させることです。

すると、底面の面積が十分に大きいオブジェクトであれば、ラフトを設定しなくてもいいように思えますよね。私はそう思いました。

たとえば、このような細胞構造の場合。

底面積が大きいので、ラフトの設定は不要だと思い、ラフトなしで印刷しました。すると、

気づいたら、造形物がプラットフォームから剥がれ、ノズル部分にくっつき、こんな状態になってしまいました。このまま気づかなければ、ノズルが詰まってしまったでしょう。

よく観察すると(現在、FlashforgeのAdventure3を使っています)、ラフトは線を並べた凹凸面(でこぼこ)になっています。これはなぜだろう?と不思議になりました。

プラットフォームに接するのが、この凹凸面です。

裏面は滑らかな面で、ここに造形物が造形されます。

造形開始時、ラフトのプリントは特にゆっくりです。ラフトのプリントが終わると、スピードアップします。

一般にいわれる、接触面積を大きくするためにラフトを設定する、というのは、造形物自体のプラットフォームとの接触面積が小さい場合の話です。しかし、上記の通り、細胞構造モデルのように底面積が十分大きいものであっても、ラフトなしではうまく造形できませんでした

どうやら、この凹凸面に何かヒントがありそうです。

ラフトが凹凸面の理由

最初は凹凸面にすることで、接触面積が増えるためだと思いました。しかしこれは、一方が液体で、一方が固体の場合や、異種材料を接合させる場合などにはあてはまりますが、今回のケースにはあてはまらないと考えました。

異種材料の接合とは、こんなイメージ。

出典:はじめての半導体後工程プロセス

次に、「動きにくくなる」→「摩擦力が増すため」ではないかと思い、摩擦力との関係を考えました。

こちらの写真をご覧ください。

左側と右側、どちらが滑りやすいでしょうか?左側なのは一目瞭然ですよね。

左側は滑らかな面、右側は凸凹のある面です。

一般化したイラストがこちら。

出典:https://www.miniphysics.com/friction.html

摩擦力とは、平面にある物体を動かそうとしたときに、動かないよう邪魔する力のことです。ということは、ラフトにかかる摩擦力が大きくなるように印刷すれば、造形物が動きにくくなります。

摩擦力は、表面の滑らかさに影響されます

比較的滑らかな面では摩擦力が小さくなり、物体は動きやすくなります。

凸凹面では摩擦力が大きくなり、物体は動きにくくなります。

ラフトのプラットフォームに接する側が、凹凸面になっているのは、摩擦力を大きくし、動きにくくするためなのですね。

考えてみれば当たり前のことなのに、すぐに摩擦力との関係に気付かず、恥ずかしいです。。。

動画(24秒)をご覧になるとイメージしやすいと思います。

ちなみに、摩擦力と接着力との関係を調べているなかで、真実接触点という概念が興味深かったです。

どんなに滑らかに見える表面も細かくみると凹凸がありますよね。そのような二つの面を接触させたとき、「本当にくっついている」部分を真実接触点といいます。真実接触点では原子間力や分子間力による凝着が起きており、面を動かすためには、真実接触点での凝集を断ち切る必要があります。ものがくっつく仕組みも深掘りすると興味深いですね。

出典:http://www.phys.aoyama.ac.jp/~w3-matsu/%E6%91%A9%E6%93%A6%E3%81%AE%E5%9F%BA%E7%A4%8E.pdf

まとめ

今回はラフトのプラットフォームに接する面が凹凸面である理由を考えました。

結論は、摩擦力を大きくし、動きにくいようにするためでした。

ここまで考えたので、今後はラフトの設定を忘れることはないでしょう!

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