染色体とクロマチンの違い、ヌクレオソームとヌクレオソームコアの違いを解説!
遺伝子にからんででてくる、染色体、クロマチン、ヌクレオソーム、ヌクレオソームコアなどの概念は、文字だけでは理解しづらいですよね。
今回は、上記概念のわかりにくい違いに注目します。
目次
染色体とクロマチンの違い
染色体とクロマチンについて考える前に、ヒストンについて考えてみます。
ヒストンとは?
DNAの二重らせん構造の一部を切り取ってクローズアップすると、ビーズに糸を通したような構造があります。
このビーズがヒストン、糸がDNAです。
ヒストンは、染色体を構成するタンパク質で、ヒストンの周りにはDNAが巻き付いています。
DNAと遺伝子の違い
念のために、染色体、DNA、遺伝子について区別しておくと、
染色体は、DNAとタンパク質を収めている場所です。
DNAは染色体の中にあり、ヒストンに巻き付くことで、もつれたり、からまったりしないようになっています。
遺伝子は、DNAの中で遺伝情報を持っている部分のことをいいます。
ヌクレオソームとは?
ヒストンとDNAが結合した構造を、ヌクレオソームといいます。
ヒストン+DNAが結合した構造(ヌクレオソーム)が集まった状態を、クロマチンといいます。つまり、ヌクレオソームが集合した全体的な状態がクロマチンです。
クロマチンが凝縮し、繊維状になったものがクロマチン繊維です。
さらに、クロマチンが折りたたまれて凝縮したものが染色体です。
関係を図式で示すとこんな感じです。
※「>」は適切ではありませんが、ここでは関係をわかりやすくするために使用しています。
実際は、DNAに結合するタンパク質は、ヒストンと非ヒストンのものがありますので、染色体は、タンパク質とDNAから構成される、ということができます。
ヌクレオソームとヌクレオソームコアの違い
ヒストンをもう少し詳しく見てみます。
ヒストンは5種類あります。
実際は、先ほどの画像のようにビーズの形ではなくて、4種類のヒストンが2分子ずつ集まった八量体のヒストンの周りを、DNAが巻き付いています。
ヒストン八量体の周りにDNAが巻き付いたものをヌクレオソームコアといいます。
あれ?ヌクレオソームじゃないの?と思いますよね。
これは私の理解ですが、
ヌクレオソームは、クロマチンの最小単位に着目して使われる概念だと考えています。
より厳密には、
ヌクレオソームコア同士をくっつける糊となるリンカーDNAと、ヌクレオソームコアをあわせたものをヌクレオソームといいます。
図式すると、
ヌクレオソームコア同士はくっつかず、リンカーDNAを介してくっついています。
ヌクレオソームは、ヌクレオソームコアとヌクレオソームコアに隣接したリンカ―DNAの一方を合わせたものを指しますが、ヌクレオソームコアの意味として使われることもあります。
ヌクレオソームコアとヌクレオソームどちらを指しているかは、文脈の中で各概念の相互関係を確認しながら理解する必要があります。
染色体が段階的に凝縮されるようすがこちら。
動画を見たら、さらにイメージしやすくなりました。
3Dプリンタでヌクレオソームをプリント
混乱しがちなバイオの概念がすっきりしましたところで、ヌクレオソームを3Dプリンタで造形してみました。
今回は2色でプリント。下の写真はThingiverseのもの。
データ入手先:https://www.thingiverse.com/thing:680778
実際に造形したのがこちら。サポート材をとる前。
サポート材をとった後。
サポート材をとる過程で、DNAを折ってしまいました。
むりやり組み合わせたのがこちら↓ 本当はヒストンがもう少しDNAの中に入るはず。DNAの崩壊が怖くてここまでしかできませんでした。
3Dプリンタには失敗がつきものですね。まだうまく使いこなせていません。
【参考】
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