マイクロRNA(miRNA)を簡単に解説!
こんにちは、あゆみです。
今回はマイクロRNA(miRNA)の仕組みを簡単に解説します。
miRNAは90年代に見つかった、生物が遺伝子発現を調節する仕組みの1つです。
miRNAは近年、がんの超早期発見、iPS細胞の生産性アップに役立つと注目されているのです。
今後、たくさんの論文が出てくることと思います。
では、早速みていきましょう。
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miRNAとは要するに何なのかを知りたい
その仕組みをわかりやすく説明してほしい
マイクロRNA(miRNA)を簡単に解説!
マイクロRNA(miRNA)は血液や唾液、尿などの体液に含まれる小さなRNAで、mRNAが翻訳されるのを抑制します。
つまり、タンパク質合成を抑制するのがmiRNAです。
ちょっとここでおさらい
DNAから情報を受け取ったmRNAはタンパク質に翻訳されますが、RNAの中には翻訳されないものもあります。
DNAとRNAを大まかに理解するときは、
DNAは情報を保存する
RNAは情報を利用する
と考えると理解しやすいです。
しかし、厳密には、RNAの中には情報を利用しない(=アウトプットしない)ものがあります。
ノンコーディングRNAの1つが、今回ご紹介するmiRNAです。
繰り返しですが、miRNAの働きは、タンパク質合成(遺伝子の発現)を抑制することです。
その働き方のイメージをシンプルにまとめたのが次の図です。
ひとことでいうと
miRNAはmRNAにくっついて、mRNAを破壊します。
mRNAが破壊されたら、タンパク質に翻訳されませんよね。
具体的なメカニズムは、
miRNAがまず、特別なタンパク質と結合します。
タンパク質と結合したmiRNAは、細胞質の中を動き回って、自分と相補的な配列を持つmRNAを探します。
警察官が白バイに乗って、犯人を捜すイメージです。
●miRNAとmRNAの配列が完全に一致すると、結合されたmRNAは破壊されます。
●miRNAとmRNAの配列が一部一致すると、miRNAはこのmRNAに結合し、別の場所に運んで破壊します。
結局、miRNAが結合したmRNAは破壊されて、タンパク質の翻訳が阻害される仕組みです。
miRNAは22塩基程度の小さなRNAです。
その小ささゆえに発見されたのは1993年と最近になってからでした。
発見したのはヴィクター・アンブロス教授です。ノーベル賞受賞候補とされながら、まだ受賞していませんね。
現在では、ヒトゲノムに約2700種類のmiRNAがあることがわかっています。
miRNAは細胞の中だけでなく、血液、尿、涙、汗や唾液などの体液にも含まれています。
がん患者の血液中には、健康な人にはないmiRNAがあることもわかっています。さらに、血液中のmiRNAの量が、抗がん剤の感受性の変化や転移などに関係するため、新しい疾患マーカーとして期待されています。
それ以外にも、miRNAは再生医療の実用化を後押しするツールでもあるのです。
miRNAを利用して作られたRNAスイッチによって、膨大な時間とコストがかかっていたiPS細胞選別を短時間でできるツールが開発されました。
iPS細胞の実用化で課題の1つとなっているのが、未分化細胞の選別に手間がかかることです。
京大発のベンチャーaceRNA Technologiesの画期的な細胞選別試薬によって、機械を使うことなく、試薬だけで細胞選別ができるようになりました。
どうでしょうか?miRNAに興味がわいてきませんか?
aceRNA Technologiesの最新試薬については、改めて取り上げますね。
また、siRNAとmiRNAの違いも改めて取り上げます。
【参考】
miRNA最新研究、国際標準化、リキッドバイオプシーのもたらす未来と展望