幼少期から3Dプリントを使うのが当たり前になると思う理由

 

子供が小さいころから、3Dプリンタに触れさせてあげることが「良い」という考えから、「必要」になる時代が来ると私は思っています。

理由は、

世界でその動きが加速しており、

文科省も動き始めているからです。

General Electric傘下のGE Additiveは自社独自の教育プログラムを世界的に展開しており、その対象は幼稚園年長からとなっています。

文科省は、中学校に3Dプリンタ導入を示唆しています。

 

今の子供たちが大人になることには、3Dプリンティング技術にたけた若者であふれ、その技術や発想力が足りない若者は苦しい立場に置かれるのではないかと思っています。

プログラミング教育と同じくらい、3Dプリンティング教育を日本は強化した方がいい、というのが私の主張です。

 

海外事情についてはこちらの記事もご覧ください。

GE Additiveによる子供向けの3Dプリンティング教育プログラム

GE Additiveは2020年までに100万人の生徒に3Dプリンタを使う機会を提供することを発表しました。

GE Additiveによるアディティブ教育プログラム(AFP)は2017年より始まったもので、5年間で1000万ドルを投資する計画を立てています。

このプログラムによって、約2000校、約130万人の生徒が3Dプリンタを使った教育プログラムを受けるだろうとされています。

 

これまで、本プログラムの対象は小学校~大学までを対象に、STEM/STEAM教育に力を入れている学校を対象としてきました。

2019年・2020年のプログラムでは、K-12 Studentsに重点を置いて幼稚園年長から高校生までに対象を絞り、大学はプログラムから除外されています。

つまり、対象年齢が下がりました。

 

今年は約3500校から出願があり、982校がプログラムへの参加を承認されました。

本プログラムでは、各校にPolar Cloud対応の3Dプリンタ Dremel Digilab 3D45やMonoprice MP Voxelに加え、フィラメントなどの材料、STEAMに対応したカリキュラムが提供されます。

出典:all3dp.com

出典:monoprice.com

これはGE Additiveプログラムに問い合わせた際の、担当者からのメールです。

 

世界48カ国から本プログラムに応募があったとのこと。

最終的に、3Dプリンタをまだ所有していない高校が優先的にプログラムに選定されたようです。

日本国内で本プログラムに応募した学校はあったのでしょうか?気になるところです。

 

中学校に3Dプリンタが導入される日がやってくる

GE Additiveほどではありませんが、日本でも中学校へ3Dプリンタ導入を進める動きがあります。

中学校の教材整備指針・改定案に、3Dプリンタが追加されました。

新学習指導要領の実施を踏まえ、文科省は6月18日から、学校の教材整備の参考資料となる「教材整備指針」の一部改定案について、パブリックコメントを開始した。改定案では、1校に1台程度、複合機を整備することを新たに加えた。合わせて、「理科教育のための設備の基準に関する細目を定める省令」の一部改正案についてもパブリックコメントを実施する。両者共に、7月17日まで意見を募集する。

(中略)

中学校では「技術・家庭」でロボットなどの計測・制御プログラミング教材や3Dプリンター、「音楽」や「美術」で作曲や画像編集ができるソフト、「外国語」で音声CDなどが加えられた。

出典:教育新聞(https://www.kyobun.co.jp/news/20190620_02/)

 

教材整備指針を確認すると、3Dプリンタの横に目安番号④があります。

出典:https://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000188519(中学校教材整備指針(案))

 

出典:https://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000188519(中学校教材整備指針(案))

 

④とは、8人あたり1個程度を示しているので、8人に1台、3Dプリンタが導入されるイメージです。教室で1班につき1台与えられ、グループで取り組むイメージですよね。

1学級分となっているので、1校あたり4台導入されるかもしれませんね。

いつ頃から運用されるものなのか、文部科学省初等中等教育局財務課教育財政室に電話で問い合わせてみました。

早ければ、2019年秋頃に正式発表されるようです。

 

この教材整備指針に強制力はありませんが、各学校が教材整備指針をもとに教材の導入を決めるため、今後、中学校に3Dプリンタの導入が進んでいくと思います。

 

今月東京で開催された教育ITソリューションでは3Dプリンタは多くありませんでしたが、2019年9月に関西で開催される第1回STEM教育EXPOでは、3Dプリンタの展示は増えるのではないかと思います。

第1回STEM教育EXPO

幼少期から3Dプリンタに触れさせることについて

我が家では、子供の教育のために3Dプリンタを導入しました。導入して間違いではなかったと思います。

理由は、ものづくりの概念を大きく変えるツールだからです。

私の中ですでに、ものづくりの概念が変わりつつあります。

3Dプリントする様子を見ていると、私自身、これまでのおもちゃがどのように製造されるのかわからなくなるのです。

射出成型しなくても、3Dプリントすればいいんじゃないの?という発想になります。

 

子供の脳内には、射出成型はまだありませんが、3Dプリンティングはあります。ものづくりのスタート地点が3Dプリンティングです。

それを日々、目の前で見ています。コップも、恐竜も、パズルも、ペン立ても、立体文字も、彼の世界観は、あらゆるものが3Dプリントできる――に変わりつつあります。

外出時にも、何気なく「これも3Dプリンタで作れるのかな?」とつぶやきます。

 

この出発点の違いが、見えないところで考え方・イメージの仕方・ものづくりの概念に浸透していき、私たちの世代と異なる発想方法になるだろうことは確実です。

 

親世代の私は、3Dプリンタが一体何を生み出すのかわかりません。

可能性を秘めていることはわかります。

それを、次世代の子どもに早めに提供してあげただけ。

そうすれば、子供が早くその潜在能力を発掘してくれるかもしれません。

 

冒頭でご紹介したGE AdditiveCEOのジェイソン・オリバーも次のように述べています。

“The sooner we put additive technology in the hands of the next generation of engineers, materials scientists and chemists, the sooner we can realize its potential.”

次世代のエンジニア、材料工学者、化学者に3Dプリンティング技術を早く提供してあげれば、その潜在能力が早くわかるだろう

 

ということで、

子供には早くから3Dプリンティングに触れさせてあげるべき、というのが私の結論です。

固い頭の私たち親にはその潜在能力がわからなくて当然です。

だからといって、柔らかい子供の脳をつぶしてしまってはかわいそうです。

 

悲しいことに、日本はこの分野で遅れています。

終身雇用もない、年金ももらえない、優秀な移民人材が増える未来。子供たちを待ち受けるのは過酷すぎる未来です。

子供には生存力を高めてほしい。

危機感とともに、そう願っています。

どんなものに役立つかわからなくても、その肥料になる選択肢だけは提供してあげたいと思っています。

 

【参考】

https://www.ge.com/additive/press-releases/ge-additive-education-program-open-entries-primary-and-secondary-schools

https://3dprintingindustry.com/news/ge-additive-to-bring-3d-printing-to-over-one-million-students-157798/

教材整備指針(一部改定案)に関する意見募集の実施について

 

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公開日:2019年6月29日