【中国のバイオプリンティング】Regenovo(杭州捷诺飞生物科技)のバイオプリンタをご紹介
2013年に創業した中国のバイオプリンタ・スタートアップ、Regenovoのバイオ3Dプリンタについて調べてみました。
URL:http://www.regenovo.com/index.aspx
中国名は、杭州捷诺飞生物科技有限公司
創始者は杭州電子科技大学教授の徐銘恩氏。1976年生まれの若き教授です。
中国3Dプリンティング技術産業連盟副理事長も勤められています。
Regenovoは2014年に肝組織のバイオプリンティングに成功しており、生存率は90%以上、生存期間は4ヵ月だったという報道もあります。
バイオプリンタで作製した細胞を創薬スクリーニングに使うのが、Regenovoの目的の1つです。
今回読んだ実用新案はこちら。これが創業当時に出願されたものでないかな?と思います。
授権公告番号:CN203665949U
発明の名称:生物3D打印装置(バイオ3Dプリンター)
ポイントを一言でまとめると、
造形する材料の種類、温度特性に応じて、ノズル交換できること
ほかは特に特筆すべきものはないかも・・・という印象でした。
Regenovoのバイオ3Dプリンターの構造
Regenovoのバイオプリンタ―のポイントは次の4点です。
●ノズル交換が便利
●異なる材料に応じてノズルを選べる
●プラットフォームは保温機能付き。温めるのも冷却するのもOK。
●材料の温度特性に対応可能
構造はあまり特別なものではないのかなと思います。
工夫されているポイントは、繰り返しですが、
造形する材料・温度特性に応じて、ノズル交換できること
でしょうか。
以下、プリンターのメカニズムをご紹介します。
まず、バイオプリンタのXYZ軸の動きは上図の通りです。
X軸ガイドレール、Y軸ガイドレール、Z軸ガイドレールが連動して、ノズルが適切な場所に移動してバイオインクを押し出していくわけですが、各ガイドレールの動きをもう少し細かくみると、次のとおりになります。
ノズルは上図水色の押出し機構の中に配置されています。
下図で黄緑色で囲んだ箇所が、押出し機構。この押出し機構を拡大したのが、下図の右側です。
押出し機構は主に、
●ノズル
●ピストン
●モーター
●押しブロック
から構成されています。
図示されていませんが、ノズルの中にはピストンがあります。
押しブロックはモーターに接続していて、モーターを時計回り、反時計回りにすると、押しブロックが上昇したり下降したりします。押しブロックの動きに連動して、ピストンが動き、ピストンが下降するときに、ノズル内のバイオインクが押し出されます。
注射器を押し出すところにモーターがついているイメージですね。
ノズルは高温タイプ・低温タイプがある
印刷するバイオ材料に応じて、ノズルを交換することができます。
高温タイプのノズルを使うと、60~260℃で造形可能で、低温タイプのノズルでは、0~60℃で造形可能です。
高温材料を造形するときは、コイル式熱交換器の中は暖気となり、造形プラットフォームを温めます。
低温材料を造形するときは、コイル式熱交換器の中は冷却液となり、造形プラットフォームを冷やします。
このほか、赤外線やレーザー、マイクロ波で加熱することもできます。
また、造形中の様子を確認できるように、造形プラットフォームを囲むフェンスを透明にするのが望ましいとされています。
対応できる材料の一部には次のものがあり、バイオ素材や生きた細胞を扱えます。
●骨再生
ハイドロキシアパタイト/チタンなど
●薬剤放出制御に関する
ポリカプロラクトン/PLAなど
●組織・臓器再生に関する
寒天/グリコサミノグリカンなど
Regenovoのバイオプリンタに関しては、上記でご紹介した実用新案以降に、
高温用ノズルに関するもの、ロボット搭載の複数ノズルに関するもの、ステント製造に関するものなどが出願されています。
Regenovoの徐氏は中国のバイオ3Dプリンタではパイオニアと呼ばれている中心人物の1人です。
ということで、中国のバイオプリンティング情勢をキャッチするために、今後もRegenovoの技術を見ていかねばなりません。
具体的な成果を確認するには、明細書よりも論文の方がよさそうですね。
※アイキャッチ画像の出典:Regenovo
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