スマホを使った3Dスキャナー「Phiz 3D scanner」【わずか2日で目標調達額の2倍に】
安い・高精度・カメラ不要。
3Dスキャナの常識が変わりつつあります。
スマートフォン、PCで数分で3Dスキャンを実現する3Dスキャナ『Phiz 3D scanner』。
キックスターターで募集を開始して、わずか2日で目標調達額の2倍を達成しました。
Phizで3Dスキャンしたデータは3Dプリンタに送ってすぐにプリントしたり、AR、VRに取り込んだりできます。
開発したのは中国系スタートアップのKIRI Innovation。創設者は王正男(Jack Wang)。カナダのトロントを拠点とする会社です。
使い方は簡単。Phizにスマートフォンをセットして、ターンテーブルにオブジェクトを置いてスタートさせるだけ。360度回転するオブジェクトをPhizがとらえます。
形状をキャプチャするだけでなく、色も再現できるのが強み。
3Dスキャナ『Phiz』にセットされているのは、ターンテーブルと光源のみ。
3Dスキャナに必須とされる「カメラ」はついていません。
カメラはユーザーのスマートフォン、PCのカメラを使います。スマートフォンはアンドロイド、iOSであれば大丈夫。
スマホを使う場合の流れは次のとおりです。
・スマホの前にターンテーブルを配置
・ターンテーブルにオブジェクトを配置する
・Phizがレーザーを走査して点群を得る
・複数の点群を統合して現物全体のスキャンデータを作成
点群という言葉になじみのない方向けに補足しておくと、
3Dスキャンでは現物をスキャンしてデジタルデータにしますが、このデジタルデータが点の集合で表現されるものを点群(point cloud)といいます。
3Dスキャナの仕組みをシンプルにいうと、3Dプリンタの逆です。
3Dプリンタは3Dデータを立体化するものですが、3Dスキャナは立体を3Dデータ化します。
スキャンできる高さは15mm~0.4mまで。
Phizは、0.2mm解像度で4分もあれば3Dモデルに変換することができます。
機械学習アルゴリズムによって、常に最適化した3Dスキャンが可能となっています。
Phizは最も正確な3Dスキャンを可能とするレーザ三角測量(Laser Triangulation)と、最もリアルな3Dスキャンを可能とするフォトグラメトリー(photogrammetry)のいいとこどりをした最初の3Dスキャナです。
レーザ三角測量は、三角測量の原理を利用しており、レーザーがオブジェクトにあたった位置をカメラでとらえることでオブジェクトまでの距離を計測して位置情報を取得します。
フォトグラメトリは写真だけで3Dデータ化できる技術で、スマートフォン、パソコン、専用のソフトがあれば使ることができます。
Phizは「正確さ」と「リアリティ」それぞれを実現した、手の届く最新型3Dスキャナーといえますね。
Phizターンテーブルは独自のハーモニックドライブを採用し、バックラッシュを最小限に抑え、高精度を実現しています。
支援できるタイプは次の3つ。
Phiz Lite(PCのみ)
Phiz full set(PC+スマホ両方)
Phiz(PC+スマホ両方)+Anet N4(光造形3Dプリンタ付き)
Anetとの合わせ買いができるのは、KIRI InnovationがAnetとパートナーシップ契約を締結しているからです。Jack Wangが動画で触れています(7:40あたり)
この記事を書いている時点で、Phiz full setの12月出荷分は残りわずか。売り切れ後は次の出荷は2020年の2月になります。
KIRI Innovationの狙いはEC市場
ここで、こちらの画像にご注目ください。
4つの靴の中に1つだけ3Dデータがあります。どれが3Dデータかわかるでしょうか?
残念ながら私にはわかりません。どれも本物の靴に見えます。
これはARを利用しています。
IDC Japan 株式会社によると、3Dプリンタ世界市場の2015年から2021年までの年平均成長率(CAGR)は16.7%であるのに対し、(時期がずれますが)、VR/AR世界市場の2017年~2022年の年間平均成長率は71.6%、2018年~2023年にかけては78.3%と高い成長が見込まれています。
参照:
Jack Wangは、今回発表したPhizの第二世代として、ARを融合し、EC市場への参入を考えているようです。
Amazonは2019年5月に専用アプリにAR機能を搭載しましたよね。商品を買うときに、部屋に家具を配置したときの雰囲気をARビューで確認できるようになりました。
AR×ショッピングを考えている企業は多いものの、商品の3Dモデルを作ることが一つの障壁となっているようです。
Jack Wangは、低価格かつ高精度の3DスキャナとARの相乗効果を利用してEC市場に入り込もうと考えています。
增强现实技术可以把将商品的3D模型通过智能手机取景器直接呈现在顾客眼前,甚至试穿。” 王正男表示,对于电商平台的商家而言,如何获取商品的3D模型一直以来都是无法解决的难题。一款价格低,精度高的3D扫描仪是唯一有效的解决方案。(出典:多伦多华人创业团队以性价比搅局全球3D扫描市场)
【意訳】
ARを使えば商品の3Dモデルを、ユーザーがスマートホンで直接確認できるうえ、試着だってできます。ECプラットフォームを運営する企業にとって、商品の3Dモデルをどのように作成するかが障壁でした。低価格、高精度の3Dスキャナが唯一の解決方法なのです。
国内外でもコスメ、ランドセル試着、スニーカー試着にARビューを導入する企業が増えてきましたよね。
Phiz 3D スキャナーの登場によって、企業がたくさんの商品を低コストで3Dデータ化できるようになれば、AR×ショッピングの市場がさらに伸びていくことは間違いありません。
この記事を書いている数時間の間に、在庫数がぐんと減りました。
気になる方はキックスターターのぺージを見てみてください。キックスターター終了まであと23日です。
>>>Phiz: Affordable 3D scanner on smartphone or laptop
低コストで高精度。3Dスキャナの常識をくつがえすPhiz 3D スキャナーがどんな変化をもたらすのか。今後も注目していきます。
【参考】
Phiz: Affordable 3D scanner on smartphone or laptop
スマホを3Dスキャナーにする「Phiz」が4時間で目標調達額を達成!
The Inexpensive Phiz Tabletop 3D Scanner
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