出口式みらい学習ドリル「ろんり」のレビュー
出口式みらい学習教室に子供を通わせたいけど、まず自宅でできることはないかな。教材を買って試してみたいけど、出口式みらい学習ドリルはどんな内容なのだろう。
今回はこの質問に回答します。
わたしの息子は今年の春から、出口式みらい学習教室に通っています。
出口式みらい学習教室とは、出口汪先生がつくられた幼児教室で、子どもが小さい頃から論理を身に着けられるように、従来の幼児教室とは異なる方針で運営されています。
親も一緒に授業を受ける仕組みで、親にとっても学びのある内容です。詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
>>>出口式みらい学習教室に2か月半通った感想と母親に起きた変化
授業内容はすばらしく、たくさんの方に自信をもっておすすめしますが、経済的な理由やお住まいの地域によっては通えない方もいらっしゃると思います。
今回は、通いたいけど通えない方のために、教室から最近販売された教材の内容、わたしの感想を詳しくご紹介します。
出口式みらい学習ドリルは2種類、計6冊出ています。
●ろんり(年少、年中、年長)
●かんじ(1、2、3)
今回は、「ろんり」(年長)の内容をご紹介します。
幼児向け通信教育の中にも論理のカリキュラムが組み込まれています。
おすすめはこちらで紹介しています。
目次
出口式みらい学習ドリル「ろんり」のレビュー
出口式みらい学習ドリルは、子供がドリルに取り組みながら論理力を習得できるように構成されています。
じっくり研究すればするほど、うなる構成になっています。
まず、論理力と聞いてピンとこない方のために、補足しておきます。
ここでいう論理力とは、ものごとを整理したり、要点をつかむときに必要な力です。
情報を頭の中で整理できれば、人に説明できます。
「きれいな」「ぴかぴかの」など飾りの部分を取り除いて要点をつかめれば、人に要点を伝えることができます。
また、情報を整理できるからこそ、自分で考えたり、記憶したりできます。
このトレーニングを子供のころからやることで、小さい頃から自然と論理力を身につけることができます。
具体的には、
●具体と抽象(イコールの関係)
●対立関係
●要点と飾り
●因果関係
を子どもがドリルを通じて身に着けられるようになっています。
このあたりの話は、出口先生の本『論理の力』に詳しく書かれています。
教材を使ってご自宅で取り組まれる場合は、先に『論理の本』を読まれるのをおすすめします。
今だと『2歳から12歳の脳がグングン育つ!論理の力』をAmazonオーディブルで聴けます(2021年8月時点)。
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では、中身をご紹介していきます。
★具体と抽象を学ぶ
仲間はずれを探すワークです。仲間はずれを探しながら、ほかの仲間をグループ化することで、具体と抽象を行き来します。
👇このように、最初は易しいワークになっています。
ドリルが非常に工夫されている例を1つご紹介
同じく仲間をグループ化するワークですが、非常に工夫されています。
左の赤枠にご注目ください。
茶碗、箸、皿をまとめると「食器」、ハサミ、消しゴム、鉛筆をまとめると「文房具」、椅子、テーブル、本棚をまとめると「家具」ですよね。
そして、食器と文房具と家具をまとめると、道具になります。
つまり、具体と抽象の関係は比べる対象によって変わるということです。それを子どもが学べる構成になっています。
文房具は消しゴム、ハサミに対しては「抽象」ですが、道具に対しては「具体」となります。
この具体と抽象を行き来する思考法を子どものころから習慣化することで、もっと複雑な内容をみても、頭の中で整理しやすくなりますよね。
すごくよくできていると感心しました。
★対立関係を学ぶ
「具体と抽象」を学んだら、次は「対立関係」「イコールの関係」を学びます。
次の例をご覧ください。
「A君、B君、C君」が具体、「男」が抽象ですよね。
ここで、「A君、B君、C君」=「男」ですので、「イコールの関係」となります。
つまり、具体と抽象は、イコールの関係です。
複数の人を「男」とまとめなければいけないのは、「女」という対立概念が存在するためです。
このように、わたしたちは具体と抽象(イコールの関係)、対立関係によってものごとを整理しています。
その最初のステップとして、出口式みらい学習ドリルでは子どもが対立関係を把握するために、「反対語」を学べるようになっています。
出口先生はドリルの中で次のように書いています。
論理は言葉と共にあります。幼児のときから、こうした言葉の論理的な使い方を習得することで、その後の知的生活が大きく変わるのです。
出口式みらい学習ドリル「ろんり」年長 p83
論理的に考える習慣をつけると、長期的に知的思考に影響を及ぼすのは間違いないと思います。
実際に、私の子供にも教室に通い始めてから変化がありました。
図鑑を見ているときに自然と「具体と抽象」を行き来するようになりました。詳しくは下記記事に書いていますので、ご興味のある方はご覧ください。
★要点をつかむ
文章を読んで、「要するに何が言いたいの?」と思うことありませんか。
そんなとき、文章から「飾り」となる言葉をのぞいて、「主語」と「述語」に注目すると理解しやすくなりますよね。
小さい子ども、特に就学前の子どもに「主語」「述語」と言っても、もちろん理解できません。
そこで、出口式みらい学習ドリルでは「なにが」「どうする」の練習で、主語・述語の関係に子どもが自然となじめるように構成されています。
1ぺージ目では、「どうする」の部分はグレーになっていて、なぞり練習をします。ぺージをめくると、難易度が少しあがり、「どうする」の部分に合うことばを選択肢の中から選ぶようになっています。
「なにが」「どうする」を繰り返すことで、主語・述語を理解できます。
一般に、文章には「飾り」が含まれています。
黄色い花びらがヒラリと落ちた
この一文から「飾り」をとると、
花びらが落ちた
になりますよね。
ドリルでは、「なにが」「どうする/どんなだ/なんだ」の練習を通じて、要点となる主語と述語に子どもの意識が向かうようにできています。
このほか、さりげなく可視化されているのもすばらしいと思います。
お気づきでしょうか?
主語は〇、述語は□になっていますよね。子どもがパズル感覚で文を組み立てられるようになっています。
✔さりげなくレベルアップしていく構成
ドリルを進めるごとに、さりげなく新しい要素が加わっていきます。
保護者もよく観察しないとわからないような、小さな工夫がされています。この工夫によって、反復練習できるだけでなく、子どもが飽きずに勉強できるようになっています。
★助詞を学ぶ
助詞の使い分けの練習もします。少しずつステップアップする構成になっています。
このエッセンスをまねて、自宅で3Dプリンタで作った国語学習ツールはこちらで紹介しています。
★飾りの言葉を学ぶ
主語・述語に着目してポイントをつかむ練習をした後は、状況を詳しく伝えるために「飾りをつける」練習があります。
なぜ、要点をつかむ練習、飾りをつける練習が必要なのでしょうか?例とともに考えてみます。
次の文をご覧ください。
お父さんがコンビニへ急いで行った
この文の要点は、
お父さんが・コンビニへ・行った
ですよね。
「お父さんが急いで行った」では、どこへ行ったかわかりませんし、「急いでコンビニへ行った」では、誰が行ったのかわかりません。
論理を理解していないと短い文でもポイントをつかめない可能性があります。
では、飾りをつける練習が必要なのはなぜでしょうか。たとえば次の一文があります。
「コップが割れた」
これだけでは、どんなコップなのか、よくわかりませんよね。
「お母さんが誕生日に買ってくれた、大事にしていたコップが割れた」
これだと、所有者にとって特別なコップであることがわかりますね。
この場合、「お母さんが誕生日に買ってくれた、大事にしていた」が飾りになります。飾りは具体であり、「コップが割れた」は抽象です。
このように分解すると、複雑な文章も論理で成り立っていることがわかりませんか。
具体と抽象を理解すると、複雑な文章をみても、どれが要点で、どれが飾りかがわかるようになります。この区別を、ドリルを通してできるようになっています。
★文をつくる
これまで学んだ内容の復習として、主語、述語、飾りの言葉を組み合わせて文をつくる練習をします。
一貫して主語は〇、述語は□になっているので、視覚的に文を分解することができますし、イラストも工夫されています。
★因果関係を学ぶ
論理を学ぶための最後の要素が、因果関係です。「理由」があって「結果」がある、というものですね。
因果関係も、子どもによく考えさせる構成になっています。
文を読んで、
●どちらが先に起きた出来事かに着目してもらい
●起きた順番を示す矢印を書いてもらいます。
【理由 ➡ 結果】について、時系列で子どもに考えさせる構成になっています。
このドリルではやりませんが、論理的な文章は、「主張」「理由」という構成になっています。
下記の例文のように、主張は「抽象」であり、理由は「抽象+具体」となっています。
子どものころから論理を身につけることで、自分の主張を述べるときや、文章を書くときにも、要点をおさえて話すことができます。
また、人の話を聞く、文章を読むときに要点をつかむことができますね。
出口式みらい学習ドリルの良いところ・残念なところ
✔出口式みらい学習ドリルの良いところ
●ひらがなを練習しながら、論理を学べる
●出口先生の『論理の力』のエッセンスが教材になっている
●無理することなくステップアップできる
教材は一貫して、論理力を培うことに重点が置かれています。
ひらがなをなぞる練習もたくさんあり、子どもが論理を学びながら、ひらがなを書けるようになっています。
✔出口式みらい学習ドリルの残念なところ
●できたよシールが切れていない
他がすばらしいだけに、残念でした。
貼る度に切るのでは不便ですし、シールを紛失しやすくなります。シールが切ってあると申し分ありません。
出口式みらい学習ドリルの種類
冒頭でも書きましたが、
●ろんり(年少、年中、年長)
●かんじ(1、2、3)
の6冊あります。
今回はろんり(年長)をご紹介しました。漢字ドリルは下記記事で紹介しています。
気になる方はぜひ試してみてください。出口式が初めての方は、繰り返しですが、『論理の力』から読まれるのがおすすめです。
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