【算数が得意な子】伸ばし方・特徴・親が今日からできること【幼児~小学生】『人気講師が教える理系脳のつくり方』より
この記事では、算数を得意にするために幼児・小学生の親が家庭で今日からできることを『人気講師が教える理系脳のつくり方』をもとに丁寧に解説しました。
●算数を得意にするための秘訣
●算数が得意な親こそ絶対にやってはいけないこと
●計算に関する親の勘違い
●算数脳を育てる魔法の接し方・声かけ方法
●算数脳の芽をつぶす、親のあるある発言
この記事を最後まで読むと、上記のことがわかります。
子どもが算数を得意になるかならないかは、親が上記のことを早い段階で知っているかどうかにある、といえます。
いいかえれば、算数が苦手になる原因の一部は、親の接し方にあるということ。
親がよかれと思ってやっていることの8割は逆効果であることが、『人気講師が教える理系脳のつくり方』を読むとわかります。
本の著者は理数系学習塾エルカミノの代表・村上綾一先生。
エルカミノのコンセプト、村上先生の考え方、学習塾・模擬試験のカラクリなどを知りたいという方にも自信をもっておすすめできる1冊です。
この記事は3分で読みます。
通信教材や学習塾などをこれから検討している方は、先にこの本を読まれてから考えても決して遅くありません。
読んだその日から、子どもに対する接し方が変わります。
算数を苦手にさせないために知っておきたいこと・つまずき対策はこちらに書いています。
目次
算数を得意にする5つの方法『人気講師が教える理系脳のつくり方』より
筆算より暗算させよ
とはっきり書かれています。
これはどういうことでしょうか?
暗算するメリット
たとえば、「24×15」という問題。
①15を10と5に分解すると、【24×10】と【24×5】に分解できますよね。
240がでたら、【24×5】の計算をするよりも、240を半分にする方が早いです。
結果、240+120=360とあっさり暗算できます。
このほか、24を3と8に分解したり、いろいろ工夫ができるのが暗算です。
このように、暗算だと、因数分解、数の分配・交換が自然と身につくうえ、いかにして楽に計算するか、考える訓練になります。
村上先生は、
✅小学四年生まではミスをしてもどんどん暗算をさせること
✅先に計算の工夫を教えないこと
とおっしゃっています。
全く同じことが、『数学に感動する頭をつくる』にも書かれています。
第一に子どもの頃(五歳から小学校三年生頃まで)に徹底して暗算能力を身につけさせるとよいだろう。この段階ではわけ(理屈)なんてわからなくてもよいから、頭の中で何かをさせるという訓練をするとよい。教材はなんでもよい。類題のプリントがたくさんあるから、公文でもよいかもしれない。(『数学に感動する頭をつくる』 p198)
ただし、高学年になっても筆算レベルの計算ミスを繰り返す場合は学力不足。
この場合は、学習時間を増やして、計算に慣れさせることが大切です。
低学年のお子さんに、「しっかり筆算しなさい!筆算しないからミスがなくならないのよ!」
と叱ってしまいがちな方は要注意です。
本を読むと、計算ミスしたときこそ褒めてあげる理由がわかります。
実際に、『人気講師が教える理系脳のつくり方』には、計算ミスを褒められて難関学校に合格した生徒さんの例が紹介されています。
トランプですぐにできる暗算ゲームはこちらで紹介しています▼
先回りして解き方を教えない
算数が得意だった親がやってしまいがちなのが、解法を先回りして教えてしまうこと。
これは今日からやめましょう!
理系能力を伸ばすためには、次のように、子どもが苦労して、いろいろ試行錯誤して、解き方を思いつく、というプロセスが大切です。
親がやってあげるべきなのは、先回りして教えることではなく、
「大変」⇒「何か工夫できないかな?」⇒「解けたー!」という疑似体験させてあげることです。
そのため、村上先生は授業で、「大変だ、大変だ」と言いながら、ホワイトボードにすべて書き出して、生徒に「先生、このやり方の方が楽なんじゃない?」と気づかせるきっかけを意図的につくっているといいます。
親が家庭学習でも大変ぶる演出をするのは今日からできますね!
子どもには面倒なことをとことんさせましょう♪
方程式など便利な道具を与えるのは禁物。次のようにはっきり書かれています。
低学年のうちからこうした”便利な道具”を子どもに与えると、自分で考える力や工夫する習慣が身につかなくなってしまうからです。
(中略)
小さい頃から苦労して面倒なことをやってきた子ほど自分から工夫するようになり、高学年になって理系能力がぐんぐん伸びていきます。
p53-54
図形にどう補助線をひけばわからず、うんうんうなっている時こそ、ぐっとこらえ、子どもが気づくのを待つ溜めが大切ですね。
算数パズルを活用する
算数・数学の本質の面白さを味わうために、算数パズルがおすすめされています。
子どもに「ああでもない、こうでもない」と考える習慣づくりとして、算数パズルはとっても効果的です。
具体例を見るとわかりやすいです。
実際にやってみると、算数パズルは試行錯誤の連続であることをおわかりいただけます。
Aの場合は⇒×
Bだったら⇒×
Cだったら⇒ありえる
というように、いろいろ試さないと正解にたどり着けません。工夫しながら、正解に近づいていきます。
トライ&エラーの数だけ、失敗があるということ。
つまり、算数パズルは子どもに失敗に慣れてもらう、とりあえず手を動かしてやってみる習慣をつくるうえで、とっても有効なのです。
もう1つ、自分で間違いに気づく力がつくのも算数パズルの効能です。
上記の例では、答えを見なくても、自分の解答が合っているかどうかわかりますよね。
✅今のやり方では正解にたどりつけないこと
✅自分で間違いに気づけること
✅違う角度からアプローチする決断
などの力をつけられます。
おすすめです▼
はじめは『理系脳をつくる ひらめきパズル』からがおすすめです。
詳しい内容はこちらに書いています▼
分数の割り算は小三までに終わらせる
子どもの数学に対するセンスが最も伸びるのは10歳までなので、
小学3年生までに分数の割り算を終わらせるべきと断言されています。
下記のとおり、現行の学習指導要領では分数の割り算を学ぶのは小学6年生。
(1) 分数の乗法及び除法の意味についての理解を深め,それらの計算の仕方を考え,用いることができるようにする。
出典:学習指導要領
分母と分子をひっくり返してかける理由を理解できるのは難しいために分数の割り算をやるのが小学6年生になっていますが、
それを待っていたら計算力が伸びる時期を逃してしまう!というのが村上先生の主張です。
「くもわ」「はじき」の法則をはじめに教えない
割合、速さの公式を簡単に覚える方法として「くもわ法」「はじき法」を教える先生がいますよね。
しかし、はじめからこの法則を教えるのはおすすめしません!
速さや割合を学ぶのは小学5、6年生。
この年齢になれば、便利な道具を教えなくても、概念を理解できます。
✅割合とはどういうものなのか?
✅速さとはどういうものなのか?
概念をしっかり理解できれば、公式を覚えなくても、おのずと解き方がわかります。
算数は抽象度の高い学問です。
目に見えないものについて考える学問だからこそ、概念を理解することがとても大切。
それなのに、はじめから便利な公式を教えてしまうと、割合・速さがどういうものなのか?
子どもが理解を深める機会を奪うことになります。
算数を得意にする秘訣・まとめ
●低学年ではどんどん暗算をさせる。
●解法を先に教えない
●算数パズルでどんどん考えさせる
●分数の割り算は小学3年生までに終わらせる
●「くもわ」「はじき」「方程式」など便利な道具を先に教えない
家庭で今日からできる4つの指導方法
算数を得意にするためには、小さい頃からじっくり考える習慣をつけることが大切。
そのために、家庭で今日からできることが紹介されています。
✅先回りして教えない
✅親がわざとミスしてわからないふりをする
✅あえて不親切な説明をする
✅逆質問をする
本を読んだその日からできることばかりです。本に具体例が載っていますので、ぜひお試しください。
わたしは読んだ日から、子どもへの声かけ、接し方、答え方ががらりと変わりました。
ある日、子どもがドリルに取り組んでいて、間違いをしたことに気づきました。
今まででしたら声をかけていましたが、その日はだまって観察。しばらくすると、子どもが先へ進んだとき「あっ、違ってた!」と自分で気づきました。
その時、「間違いを指摘しなくてよかった….本で書いてあったことはこれか!」と納得しました。
自分で間違いに気づいた子どもは、発見できたことに、とてもすっきりした様子だったからです。
子どもの「なんで?」攻めに今日から苦しまなくなる魔法
本を読んでから、わかっていることを聞かれたときに、すぐに答えるのもやめました。
「(絵の具で遊んでいるとき)肌色は何と何を混ぜるの?」
「(地球儀を見て)南極の人はなんでおっこちないの?」
「(宇宙DVDを見て)どうして宇宙では浮かぶのに、ここでは落ちるの?」
と聞かれても、「何でだろうね?こういう場合はどうなんだろう?」など、逆質問したり、一緒に実験したり、ほかの例を出して考える時間を与えたりするようになりました。
「なんで?」の質問は、子どもの思考を広げる絶好のチャンスですね。
算数に強い子の2つの特徴
●「またぼーっとしてるんだから。ノートにちゃんと書きなさい!」
●「変な計算方法しないで、教えられたとおりにやりなさい!」
など、言ってしまうことありませんか?
上記の例は、理系脳が伸びる子のサインの一部です。
知っていれば、子どもが思考を深めるのを邪魔せずにいられますが、
知らないと、余計に口出ししたり、ノートに書かせたりして、大切な芽を踏みつぶしてしまうおそれがあります。
そのためにも、算数に強い子の特徴を押さえておくのは大切!
2つの特徴をご紹介します。
問題を拡張できるかどうか
分類が得意な子は、初めてみる問題を見たときに、「前にやったのと同じパターンの問題だ」とすぐ気づくのに対し、
分類が苦手な子は、ヒントを与えてもらっても、「前にやった問題とどこが同じなの?」と結び付けることができません。
分類が得意な子、つまり算数が得意な子は、問題を解くために重要なコアだけを頭に入れています。
これに対し、算数が苦手な子は、すべての手順を覚えようとします。
余計な枝葉まで頭の中でごちゃごちゃで、コアがつかめていないので、「前にやったあの問題と同じパターンだよ」とヒントをもらっても解き方を思いつけません。
『数学に感動する頭をつくる』の栗田先生もまったく同じことをおっしゃっています。
よくよく数学が苦手だという子を観察していると、同じような構造をした問題が同じに見えないために、ものすごい苦労をしている子がたくさんいるのです。(p88)
過去にやった問題を拡張させて、コアの解法を再利用できるかどうか?
これが算数が得意かどうかの違いとされています。
子どもがぼーっとしているとき、もしかしたら頭の中で、過去にやった似たパターンを連想しているのかもしれません。
そんなときに「ぼーっとしていないで、手を動かしなさい!」なんて声をかけたら、算数脳が育つきっかけを奪ってしまうかもしれません。
面倒くさがり・怠け者
「もっと手間や時間をかけずに、楽に解ける方法はないだろうか?」と考えるのも算数に強い子の特徴とされています。
前半で紹介した暗算とも関係しますよね。
学校では「一の位から計算する」と教えられますが、理系の子は「数字は左から読むのに、なぜ右から計算するの?」と感じることが紹介されています。
実際に、難関の筑駒に通う生徒さんの多くが「みんな左から計算する」という興味深い話が紹介されています。
それくらい、理系人間と理系苦手人間では、合理性や効率性に対する感覚がまったく逆なのです。
この本は、子供が小学校低学年、できれば就学前に読まれるのが大変おすすめです。
算数教育で絶対に読むべき2冊
下記2冊は、算数教育を考えるうえで、読んでとても良かった本です。
これらの本を読まずに子供の算数教育に臨んでいたらと思うと、正直ぞっとします。
『数学に感動する頭をつくる』では、暗算力を伸ばす手段のひとつとして意外なことに公文式に触れられています。
『数学に感動する頭をつくる』は今なら、Kindle Unlimited(2021年6月時点)で読めます(初回登録月は無料です)。
算数ネタ・公文式についてはいろいろ書いています。
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