教育改革に備えて親が家庭でできること【『2020年からの教師問題』を読んで】
2020年の教育改革によって、大学の教育内容が変わるのに伴い、大学と高校の接点である大学入試が変わります。
親として特に危機感を覚えるのは、変わる大学入試にどう対応すればよいか?です。
私の子供はまだ4歳ですので、先といえばまだ先の話。しかし、子供が大学生になるころに、世の中が激変しているであろうことは想像すると、今からできることをやりたいと思いました。
そこで、実際の大学入試問題を見て、家庭で親ができることは何か考えてみました。
ヒントにした本は『2020年からの教師問題』です。
教育改革に備え、教師が意識すべきことが書かれている本です。
親が家庭で実践するうえでも大変参考になる本でした。
読後の結論は、
親も考える習慣をつける
親も子供と勉強する
です。
目次
教育改革に備えて親が家庭でできること
繰り返しですが、
親も考える習慣をつける
親も子供と勉強する
これしかないと思いました。
理由は2つ。
・今後の入試問題では、知識を再現できるものではなく、「正解のない問い」が出題されるから
・親は知識偏重型教育しか受けていないから
つまりは、子供に新しい教育を受けてもらうには、親の古い脳をバージョンアップさせないといけないということです。
実際の大学入試問題を見た方がイメージしやすいと思います。
すでに一部の大学では次のような問題が出題されています。
「もし、地球が東から西に自転していたとしたら、世界は現状とどのように異なっていたと考えられるか、いくつかの観点から考察せよ」
(2014年 東京大学理科一類)
「親友と最近連絡が取れません。どうやら、親友はひどく落ち込んでいるようです。何度か連絡を試みた結果、ようやく明日親友と会って話すことになりました。そこではどのようなやりとりが二人の間で繰り広げられるでしょう。二人のやりとりを対話形式で解答用紙のA欄に、そしてそのやりとりの中であなたが意図したことをB欄に述べなさい」
(2008年 慶応義塾大学医学部 小論文)
このような問題は、私が大学受験をしたころには皆無でした。
上記の問題に共通するのは、
●正解がないこと
●自分の考えを表現すること
正解のある問いに慣れきっている私の脳が、強い拒絶反応を示す問題です。
これまでのように知識を詰め込んで整理しておけば解答できる問題と全く違うのは明らかです。
そして、私も含め、多くの親は上記の問題に対応できません。
そのため、親も勉強したり、考える習慣をつけたりする必要がある、という結論にいたりました。
親「も」というより、親「こそ」がというべきかもしれません。
教育改革では、
●正解のない問いについて考える
●自分の考えを持つ
●創造的な思考力
が求められます。
知識を習得する教育から、知識を活用する教育に変えるのが教育改革です。
得た知識をどのように活用するか、つながりのないように見える事象をどのようにつなげて考えるか。
これまで重視されていた知識を習得することに加えて、知識を活用する力が必要になります。
自分の答えをまとめ、検証するための論理的思考
本の中で、もう1つ問題が紹介されています。
江戸時代の三大改革と田沼意次の政治を比較し、あなたであればどのような経済政策をとりますか?
これも、知識を整理したうえで、「自分ならどうするか?」を考えなければなりません。
このような問題を考察するヒントとして、「因果関係」・「比較検討」・「抽象化」が紹介されています。つまり、論理的思考です。
因果関係:当時の社会情勢と政策の結果を考える
比較検討:三大改革と田沼誠二の経済政策を比較し、違いを理解する
抽象化:2つの政策は、それぞれどのような経済政策であるか、抽象化する
自分の考えをまとめるためには、まず「因果関係」・「比較検討」・「抽象化」で2つの政策を吟味する必要があります。
そして、自分の出す答えに正解はありません。
教育改革で変わる入試問題によって、同じ勉強内容でも、生徒には多様な力が求められることがわかりますね。
暗記偏重だった歴史が、
✔年号の変化によって何が変わったのか、
✔ある事件が起こらなかったらその後の世界はどうなっていたかなど、
知識の再現を超えて、実生活や実社会と照らし合わせて考える「生きた」授業になると思いました。
この点で、教育改革は必要な改革であり、すばらしい改革だと思います。
ただ、現場の教師にかかるプレッシャー、負担が増えることは容易に想像できます。また、改革が完全に浸透するまでに10年くらいはかかるはずです。
そのため、親が学校任せにせず、家庭で意識していくことが大切だという結論にいたりました。
「答え」を提示せず、「モヤモヤ感」を残すのがポイント
生徒(または子供)にある問題について考えてもらうとき、
●「答え」を提示しない
●適切な問いを繰り返す
ことが教師(または親)に求められます。
次のような問題があります。
あなたが世界の温暖化政策の責任者だったら、どのようにこの問題を解決しますか?
授業で生徒にこの問題に取り組んでもらう時、注意するのは、教師は答えを提示しないこと。
授業のしめくくりに教師が提示する「答え」がなるほどと納得できるものである場合、生徒はそれ以上考えるのを止めてしまうからです。
また、毎回の授業の終わりに教師が「答え」を用意していることがわかっていると、生徒は教師の「答え」を期待し、自分でとことん考えることをしなくなってしまいます。
これは容易に想像できるのではないでしょうか?
授業の最後に先生が答えを言ってくれることがわかっていたら、議論に対してそれほど真剣にならず、とりあえず時間が過ぎるのを待つ生徒もいるかもしれません。
授業でのポイントは、「答え」を提示しないこと。
本によると、生徒の頭の中に残るモヤモヤ感をそのままにし、生徒が授業後にも考え続けるように、授業を進める必要があるとのこと。
つまり、モヤモヤ感バンザイ!ということです。
生徒が「答え」を求めてきたら、適切な問いを返し、生徒のモヤモヤ感を増幅させること。
そのために、教師は日頃から知的好奇心をもって、インプットすべきであるとされています。
あることについて、深く考えたり、ある視点から物事を考えたりしていなければ、生徒の思考を広げる問いを発することができません。
これは親にもあてはまりますよね。
だからこそ、親こそが学び、考える習慣をつけるべきだと思いました。
子供が小さいころから親にできること
私の息子はまだ4歳。
息子のように小さい子供に対しても、上記の取り組みは実践できることに気づきました。
子供が興味を持っていることを親も学び、問いを発することです。
たとえば、息子がいま興味を持っているのは恐竜。
恐竜図鑑に附属されたDVDを見て、隕石によって恐竜が絶滅したことを息子は知りました。
次の質問が考えられます。
・隕石が衝突しなかったらその後の世界はどうなっていただろう?
・隕石の衝突で恐竜は絶滅したのに、爬虫類や鳥たちはなぜ生き延びることができたのだろう?
4歳には難しいかもしれませんが、考えるきっかけとしてはアリかなと思います。
上記問いを思いついたのは、息子に影響されて、私も恐竜に興味を持ったからです。
一緒に何度もDVDを見て、図鑑を眺めては、どの恐竜が一番賢いか、一番強いかなど議論するうちに、私の恐竜に関する知識が一気に増えました。
恐竜に関する知識が増えるにつれて、自然と疑問がわいてきました。
教育改革の備えとして家庭でできるのは、親も積極的に子供と学んで、考え、質問で子供の好奇心を引き出してあげること。
これが現在の私の考えです。
人気記事