『AIに負けない子どもを育てる』の感想【親御さんに最も読んでほしい1冊】

正直なところ、この本を読むことには抵抗がありました。

読みながら「目からウロコ」と感動しつつ、何とも言えない抵抗感を覚えながら最後の「手記」まで読んだとき、救いがありました。

 

この本は、新井さんの前著『AI vs 教科書が読めない子どもたち』の続編です。

タイトルに「AI」とありますが、メインテーマはAIではありません。

[word_balloon id=”1″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”true” avatar_shadow=”true” balloon_shadow=”true”]たくさんの子供、大人が短文を正確に読めない原因を分析し、どうすれば読めるようになるのかが書かれています。[/word_balloon]

 

この表紙を見て、次のように思う人もいるはず。

-この本は重要そうだけど、なんだか読むのが億劫

-メンタリストDaiGoさんの本を読む方がいいかな!

 

上記に少しでも当てはまる人は、この本を読んだ方がいいですよ。

この本を「読みにくいな」「抵抗あるな」と思ったこと自体が、「読解力に問題あり」の可能性があります。

 

わたしはたくさん本を読んでいるから読解力に問題ないわ!

と思う方も残念ですが、「読書量と読解力に相関はない」ことがデータで示されています(本書p38)

 

途中、絶望するかもしれませんが、冒頭の通り、「救い」があります。「救い」とは解決方法です。

わたしも途中、自分に絶望しましたが、最後の「手記」で救われました。

 

分厚くみえる本ですが、大部分がRSTというリーディングスキルテストの体験版と解説です。

読むのにそんなに時間はかかりません。

ぜひ、絶望→救いのジェットコースターに乗りながら、読解力を深める旅に出ましょう。

 

こんな方は必読

●子どものお父さん・お母さん

●学校・塾の先生

●表紙に少しでも「抵抗」を感じた方

 

穴埋めプリントがもたらす弊害

受験勉強で穴埋め問題をたくさんこなし、要領よくパスしてきた人は多いと思います。

わたしもそうでした。

穴埋め問題は、内容を理解しなくても、キーワードの組み合わせを覚えておけば、点数が取れます。

 

筆者は穴埋め式によるプリント・テストを否定し、

小学生時代に「論理で考えるよりも暗記のほうが楽で成功しやすい」という成功体験をなるべく積ませないことを強調しています。

残念なことに、わたしは薬剤師国家試験も暗記で乗りきってきました。

 

わたしのような取り組み方をしてきた人には次の特徴があると思います。

●考えずにすぐに答えを見てしまう

●1分でも考えることができない

 

理由は、答えを先に見て、覚えてしまった方が楽だからです。

わたし自身、長年にわたって、「正解を覚えて、要領よくこなす」ことに慣れてしまいました。

現在でも、

●まず自分で考えてみる

●答えのぺージをめくらずに我慢する

 

ことは、意識しないとなかなかできません。

無意識レベルで、答えを探してしまいます。

[word_balloon id=”1″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”true” avatar_shadow=”true” balloon_shadow=”true”]本書を手にとって、読もうとしたときに感じた抵抗感はこれですね。[/word_balloon]

 

ただ、無思考に走ってしまう理由は「入試が暗記を求めている」からではないと筆者は言います。

「入試は読解力を求めているのに、読解力が不足している人は暗記に走らざるを得ない」と指摘しており、まさにその通り。

 

では、読解力不足を招く背景にはどんな原因があるでしょうか?

筆者は、穴埋めプリントの多用が、皮肉にも、子どもたちから正しく読む力を奪っていると指摘しています。

前述のとおり、穴埋め式は正確に理解していなくても正解にたどりつけます。

そして、多くの学校では板書でなく、プリントが使用されています。

 

板書ができない子どもだち

小学校ではプリントを少しずつ減らし、中学校ではプリントの使用を完全に止めるべき

が筆者の主張です。

ここでいうプリントは、穴埋め式が中心のプリントです。

 

なぜ、プリントを減らすべきなの?

プリントを使えば、逆に話し合いの時間が増えるのでは?

 

最初、ピンときませんでした。

本書によると、

プリントをやめるべき理由は、プリントが子どもたちから板書する機会を奪い、それによって、ノートを取れない子どもたちが増えているからです。

 

なぜ、板書が大切なのかというと、

●文単位で理解しているのか、

●文字単位で理解しているのか、

●またはほぼ理解していないかが、

板書のスピードで一目瞭然だからです。

わたしが本書で最も衝撃を受けたのがここでした。

 

筆者は、教室の後ろから授業を見学しているとき、どの子供が課題を抱えているか、板書するときに頭を上げる回数でわかるといいます。

頭を上げる回数が多い子は、文単位でなく、文字単位で認識している可能性があります。

つまり、問題文を理解できておらず、「意味」として頭に入っていないことになります。

 

先生がよかれと思って配るプリントによって、こうした子供のSOSは見過ごされ、ノートを取れない子どもは、そのまま中学校へ進学します。

中学校でもプリントを使用すると、問題は気づかれないまま、高校生、大学生になります。

こうして、短文すら正確に読めない大人たちが量産されていきます。

 

教師の多くがプリント、特に穴埋め式のプリントを用意する動機は、子ども全員がついてこられるようにするため、議論する時間を増やすためですよね。

しかし、教師がよかれと思って作ったプリントが、子どもたちの読解力低下を助長させていた、という話は、富山県立山町の例からも紹介されています。

 

自分の読解力をチェックしてみる【私の結果も公開】

本には、読解力をテストする問題が28題掲載されています。

これは、筆者が開発したRST(リーディングスキルテスト)の体験版です。

正式なものは有料ですが、短文が読めていないことを認識するには、十分に衝撃的でした。

[word_balloon id=”1″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”true” avatar_shadow=”true” balloon_shadow=”true”]わたしの悲惨な結果は教えたくないですが、子どもを持つ親御さんに読んでほしいので、恥を忍んで公開します。[/word_balloon]

 

28問中、不正解は、16、19、20、27

 

本の28問で、次の6つのスキルを測ることができます。

●係り受け解析

●照応解決

●同義分判定

●推論

●イメージ同定

●具体例同定

 

わたしが間違えた4問を分類すると次のようになります。

推論:16

イメージ同定:19、20

具体例同定(理数):27

 

わたしが最もできなかったのがイメージ同定

イメージ同定は、図やグラフが、文章の内容と対応しているか理解する力で、AIにはできないとされる問題です。

そして、最低限とらなければいけない点数を唯一とれなかったのが、イメージ同定でした。

[word_balloon id=”1″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”true” avatar_shadow=”true” balloon_shadow=”true”]わたしの読解力は、AIと変わらないということです。。。[/word_balloon]

 

本書には、正答率に応じたタイプ分けが解説されています。

わたしは、本書で言うところの「前高後低型」で、

活字が読むことは嫌いでないし、知的好奇心はあるのに、一行一行しっかり読まず、キーワードを拾ってざっくり理解するタイプ、という判定

勉強好きでいろいろ読むけど、論理的に考える力が不足している、ということです。

 

実はあまりショックではなく、やっぱりそうか、という感じでした。

本を読んで、筋道を正しく理解するのが苦手、要約するのが苦手、営業職をしていた時に頭の回転が遅すぎるなど、何かが足りないことには気づいていました。

 

自分が読めていないことがわかってもショックを受けなくて大丈夫。

まずは、読めていない事実を知りましょう。

 

大人でもリーディングスキルは上がるのか?と思う方もいますよね。

[word_balloon id=”1″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true”]

本書の第10章に、実例が生々しく紹介されています。

冒頭で書いた「救い」がこの章でした。

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ぜひ、この本のリーディングスキルテストをやってみてから、第10章の手記を読んでください。

 

「伝え方」「勉強法」「売れる文章術」など、とサクッと読めるビジネス系の本を読むことが多い方には特におすすめです。

 

ぜひ、この機会に「脳」の筋肉痛を味わいましょう。

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公開日:2019年11月13日