初心者は光造形と熱溶解(FDM)どちらを選ぶのが良い?【5台購入した経験から語る】
これから3Dプリンタを買いたいけど、光造形と熱溶解、どちらを選べばいいだろう?
両方使った経験のある人の意見や感想を聞いてみたいな。
できれば、おすすめの機種も教えてほしいな。
今回はこんな疑問にお答えします。
わたしはこれまで3Dプリンタを5台(熱溶解3台、光造形2台)を購入し、装置選びでいろいろ失敗もしました。
今回はわたしの経験をもとに、光造形と熱溶解どちらがいいか、選ぶポイントをご紹介します。
目次
初心者は光造形と熱溶解(FDM)どちらを選ぶのが良い?
光造形、熱溶解どちらも使った私の感想は次のとおりです。
作るものがまだはっきり決まっていない場合は、熱溶解方式がおすすめ。
フィギュア、アクセサリーなど、より高精度のものを作りたい場合は、最初から光造形がおすすめ。
光造形と熱溶解(FDM)の仕組み、精度の違いは、こちらの記事に書いています。
2019年の傾向から両者の特徴をまとめたのが次の表です。
2019年は光造形の低価格化が目立った年でした。表の通り、熱溶解と光造形に「価格差」がなくなりました。
熱溶解タイプはもちろん、光造形も3~4万円で入手できるものが一気にふえたのが2019年のトレンドでした。
光造形、熱溶解とで、価格差はほとんどないと考えてOKです。
これから3Dプリンタを買おうと考えていて、光造形、熱溶解どちらにするか悩んでいる方は、価格以外の部分が決め手になると思います。
光造形と熱溶解を選ぶポイント6点【価格以外】
ここから6つのポイント別に、両者の違いをみていきます。
〇精度
〇造形時間
〇後処理
〇安全性
〇騒音
〇匂い
✔精度
より高精度のものを作りたい場合は、最初から光造形を選ぶのがおすすめです!
精度にかかわるのが「積層ピッチ」という概念です。
積層ピッチとは、Z軸方向の1層分の厚さをいいます。
上記のように、光造形の積層ピッチは熱溶解より小さいため、積層跡が目立ちません。
具体的な数値は機種により異なりますが、わたしの持っている3Dプリンタのデフォルト設定は、
光造形の積層ピッチ:0.05mm
熱溶解の積層ピッチ:0.18mm
となっています。
わかりやすくいうと、
熱溶解がイチゴのショートケーキ、光造形がミルクレープです。
✔造形時間
複数のものを同時にプリントする場合、造形時間の長さは、光造形<熱溶解です。
これは、光造形がZ軸全体を同時に露光して硬化させるのに対し、熱溶解は、Z軸の箇所ごとに順番に積層させていくからです。
天板に並べられたクッキーを同時に焼くのが光造形で、
天板にクッキー生地を1つ1つ置いて焼くプロセスがFDMのイメージです。
ただ、速さは一概にどちらが速いとはいえません。
高さのあるものをプリントする場合、光造形は時間がかかります。
たとえば、このエッフェル塔を造形するのに光造形で11時間かかりました。
✔後処理
光造形には後処理があります。
残ったレジンをアルコールで洗い流すプロセスです。
FDMの場合、印刷後の洗浄はありません。
サポート材という部分を剥がせばいいので、後処理は楽です。
(細かいディテールを追求するとやすりがけなどありますが、私はやっていません)。
ただ、両方やってみた感想は、慣れれば、光造形の後処理はそんなに手間に感じません。
光造形の場合、印刷完了→プラットフォームから造形物を剥がす→アルコール洗浄→装置の掃除・片付けまで、慣れれば20分くらいで完了します。
[word_balloon id=”1″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”true” avatar_shadow=”true” balloon_shadow=”true”]後処理が面倒くさい、という理由だけで光造形をやめるのはもったいないです![/word_balloon]
✔安全性
安全性は、小さい子どもがいる場合に特に注意が必要です。
光造形の場合、小さい子どもと一緒に使うのはおすすめしません。
「危ないからこっちにこないでね」と言って、守れる年齢なら大丈夫だと思います。
レジンに触れるとアレルギーになる可能性があるため、作業時は手袋を着用します。
造形プラットフォームから造形物を剥がす場合に、レジンが跳ねることがありますので、注意が必要です。
[word_balloon id=”1″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”true” avatar_shadow=”true” balloon_shadow=”true”]わたしは子どもが不在の時だけ光造形を使用しています。[/word_balloon]
熱溶解の場合、ノズル部分が200度以上になります。
子どもがいる部屋で使う場合、次のような組み立て式のノズルがむき出しのタイプは、子どもがノズルに触らないように注意が必要です。
また、上記のむき出しタイプの場合、子どもが転んだときにぶつかって怪我をする恐れもあります。
子どもと使うために熱溶解方式の3Dプリンタを購入する場合は、次のような組み立て式でないタイプがおすすめです。
✔騒音
全体的に、熱溶解の方が音は大きいですが、機種によって差があります。
たとえば、Anycubic Mega-Sという格安タイプの熱溶解は、やや音がうるさいです。
わたしがメインで使っているAdventurer3も同じ熱溶解方式ですが、音はほとんど気になりません▼
光造形の場合、音はほとんど気になりません。
壁の薄いアパートで、夜中に階下、隣の人を気にすることなく使えます。
ちなみに私がもっているのはこの2つ。どちらも音は全然気になりません。
約4万円の光造形▼
約5万円の光造形▼
✔匂い
熱溶解、光造形の材料にはいくつか種類があるため、どの材料を使うかによって、匂いの程度は異なります。
わたしは匂いに鈍いようで、熱溶解、光造形どちらも、匂いは全く気になりませんでした。
熱溶解では、PLAというフィラメントを使っています。ABSフィラメントだともう少し匂いが強くなります。
光造形では、アルコール洗浄時に、洗浄に使うイソプロピルアルコールがやや匂いがあり、吸い込まないようにマスク着用がおすすめです。
[word_balloon id=”1″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”true” avatar_shadow=”true” balloon_shadow=”true”]どちらのタイプも、換気扇をつけたり、窓を開けたりすれば、帰宅後に家族が匂いに気づくほどにはなりません。[/word_balloon]
【チェックリスト】光造形と熱溶解(FDM)どちらがいい?
フローチャートにするまでもないですが、下記をご参照ください。
繰り返しですが、価格面での差はもはやほとんどありませんので、
✔精度
✔使用する環境
✔作りたいもの
を軸に考えるのがいいです。
わたしは次のように使い分けています。
・高精度のものをプリントしたいとき、かつ、子どもがいないとき
・時間を短縮したいとき
→光造形
・早朝にプリントしたいとき/思いついたものをすぐにプリントしたいとき
→熱溶解(FDM)
これまで5台買った経験をもとに、おすすめの3Dプリンタを下記の記事に書いています。
何か不明な点や聞いてみたいことがありましたらお気軽にお問い合わせください。
動画をつくりました
https://youtu.be/-uHefHHrk-o
https://youtu.be/579WK1aHLRQ
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