「公文をやめてよかった」と本当に断言できる?|うちが一度退会して再開した理由
この記事では、公文式を1度やめてから再開したわが家の体験と、『なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?』の本をもとに、公文式のメリット・デメリットについて丁寧に解説しました。
●「公文式をやめてよかった!」という経験者の声をそのまま信じて大丈夫?
●公文式を始めるべきかどうか悩んでいる
●公文式のメリット・デメリットを詳しく知りたい
このように悩んでいる方にわかりやすく書きました。
この記事を読めば、
●公文式のメリット・デメリット
●公文式が合う人・合わない人
●公文式をやるかどうか
●公文式の限界
●公文式をやめるベストタイミング
●公文式を活かすかどうかは親次第
●数学オリンピック参加者の多くが公文経験者
これらのことがばっちりわかります。
わが家は息子が4歳のときに半年ほど通って退会し、5歳になって再開しました。それから、1年半たち、公文算数の効果を感じています。
わたしも含め、公文式をやめた経験をもつ方は多いですが、「退会者の声」だけを聞いて判断するのは決しておすすめしません。
わたしもそうでしたが、やめていく人のなかには、公文式への理解が足りないまま入会し、家庭学習を努力せずにやめている人がいるからです。
これは、オーブンしかない状態で、窯焼きピザを作ろうとするようなものです。
この記事では、わたしの体験、『なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?』をもとに、公文式について完全解説します。
最後まで読むと、お子さんにとってベストな選択かどうかがわかります。
公文から切り替える子が多いタブレット教材RISU算数との比較が気になる方はこちらをご覧ください。
目次
公文式の成否のカギは保護者にある
公文式を続けられるかどうかは、親の姿勢にかかっています。
●なぜ公文式をやるのか
●公文式でどんな力を身に着けたいか
はじめる前にこの2点を明確にしておかないと、失敗する可能性が極めて高いです。
子どもを魅了する通信教育と違って、公文式プリントは無味乾燥なうえ、しつこいほどの反復練習が中心だからです。
わが家が1回目に退会した理由も、わたしが上記2点を明確にしないまま入会を決めたからです。
「子どもがやりたい」と言ったのも入会の決め手ですが、子どものやりたいという気持ちだけでは、続けるのはかなりむずかしいです。
親に明確な目的があれば、子どもが宿題をやりたがらない場合でも、親が応援して乗り切ることができます。
親に明確な目的がなければ、同じことを何度もやらせる公文式に疑問が生じて退会を決めたり、子どもを勉強嫌いにしてしまったりする可能性があります。
それくらい、成否のカギは保護者の姿勢にあるのです。
公文は教室2日、家庭学習5日が基本
5日分の宿題プリントを家庭でこなさないと、いつまでも同じところから進めません。
子どもが教室に通うだけでは成果はあがりません。
本でも、すぐにやめてしまう子、続く子の違いは保護者の姿勢にあることが指摘されています。
保護者が公文式に疑問をもっていると、親の家庭学習へのサポートも少なくなり、続きにくく、
公文に通う目的を明確にし、子どもと宿題をやるルールを決めているご家庭では、親のサポートがあり、続きやすい傾向があります。
わが家のケースをふりかえると、
1回目:入会時に目的を明確にしていない⇒公文式に強い疑問⇒退会
2回目:入会時に目的・身につけたいものを明確に⇒家庭学習を全力でサポート中
わたしの体験からも、継続できるかどうか、成果を出せるかどうかは、保護者の姿勢にあると断言できます。
次に、公文式の学習メソッドはどのようなものか見ていきたいと思います。
公文式の学習メソッド
●自分の学年の半年から2年前からスタート
●徹底的な反復練習
●先生はやり方を教えない
●算数は計算力を重視
易しめなものからスタート、徹底した反復練習
はじめに学力診断テストを実施し、かなり易しめなものからスタートします。
そして同じ内容を何度も反復させながら、ゆっくり進めていきます。
これが公文式を退会する理由の1つとなっています。
わが家が1回目に挫折した理由もこれでした。
子どもにとって簡単で、問題なくできるプリントを、何枚も反復練習しなければならないからです。
息子はひらがなが書けるのに、教室では「ずんずん」という線を引く練習をひたすらやりました。
息子が先生に直接、「ぼくはひらがなを練習したい」といってもダメでした。
公文のコンセプトを理解せずに入会したわたしは、「まったくもって無駄なやり方だ」と判断し、退会を決めました。
再開を決めた理由は後半に書いています(⇒先にジャンプする)。
公文式の学習メソッドは「教えない」
公文式では、新しい単元に入っても先生は説明しません。
子どもが例題を見て、それをまねる形で問題を解くしくみです。
実際のプリントを例に説明しますね。
分数の足し算のプリントです。
例題を見ると、(1)は分子を足せばいいことがわかります(①)。
(2)も同様ですが、解答欄に分母の記載はなく、ステップアップさせています(②)。
(3)で反復練習させたあと、(4)ではふたたび解答欄に分母の記載があります(③)。
(1)~(3)につられて、分母を「5」にしないように気づかせるヒントです。
(4)~(6)で反復練習させ、(7)では分母は変わりますが、解答欄にヒントはありません(④)。
このように、少しずつスモールステップアップしていくことで、教えなくても新しいことがわかる仕組みになっています。
足し算、かけ算、割り算でも、教えなくてもスモールステップで学べる構成になっています。
これは、与えられた条件の中から、類推する力をつけさせ、自学自習の姿勢を身に着けさせる点ですばらしい構成だと思います。
実際に、公文式をやっていた生徒さんは、
公文式をやっていたおかげで、数学で新しい公式を見たときにも、暗記ではなく原理から理解することができるようになっていた
と語っています。
算数は計算力を重視
公文式算数では図形はやりません。
文章問題はB教材から10枚に1枚の割合で登場します。
計算問題を徹底して何度もやらせ、暗算できるレベルまでもっていきます。同時に、暗算のスピードに追い付いていけるように、運筆力も徹底的に鍛えます。
幼児の算数では、数字を読むこと、書くことを繰り返しやります。
「たくさんの数学オリンピックの子が幼少期に公文式算数をやっていたから、うちも幼児期から算数を」と軽い気持ちで始めると、ひたすら続く書く練習におどろくほどです。
数字を書ける子にとっては、悲しいほどのスモールステップ。
すべては運筆力が暗算スピードに確実についていけるようにするためです。
公文式算数をはじめて3ヶ月のプリント量です。通信教育よりかなりボリュームが多いです。1日5~10ぺージ進めていきます。
進みはあえてゆっくり。どのお子さんでも、プリントをこなせば確実にステップアップできるようになっています。
そのため、しつこいほどの反復練習に、親も子も音を上げて辞めてしまうケースが少なくありません。
✅公文式はこういうやり方なんだ
✅公文式でこういう力をつけたい
など、目的をはっきりさせておかないと、お金も時間も費やしたのに、挫折することは十分考えられます。
わが家では2回目の入会時に、
- 息子の気持ちを繰り返し確認 「本当にやりたいの?」⇒「うん」
- 足し算に到達するまで書く練習がたくさんあることを息子に念入りに伝える
- 息子を通わせる親の目的を明確にする
この3点をクリアにしました。
モチベーションを保つのが大変なこともありますが、
算数については進むにつれて、暗算力とワーキングメモリーが鍛えられる効果がありました。
年中の冬に再開してから1年半で、4桁+4桁の足し算や、3桁×1桁、2489×9のような4桁×1桁のかけ算を、繰り上がりを書かずに計算できるようになりました。
ただ、骨のある計算プリントに到達するまでが非常に長いですので、
始める年齢を見極める必要はあります。
何歳から始めるのがいいのか?について、
わが家の経験ベースで感じることはこちらに書いています。
公文式のメリット・デメリット
弊害が多いと批判の声も多い公文式ですが、『なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?』を読むと、公文式には十分なメリットがあることがわかります。
公文式のメリット
・毎日コツコツ続ける力
・土台の強固な暗算力
・学習習慣
・あきらめずにやり抜く力
・自学自習の姿勢
・自分はできるという自信
大量のプリントを毎日取り組むことは自己鍛錬ともいえます。
本でも「やりぬく力がついた」「学習習慣がついた」という感想が多いです。
公文式をやる目的をはっきりさせて、やめるタイミングを間違えなければ、公文式は子どもに大きな自信となるはずです。
特に算数については、単なる計算にとどまらない、強固な暗算力がつきます。
スモールステップですが、公文算数では繰り上がり・繰り下がりを書かないやり方でまず挑戦させますので、
ワーキングメモリーが日に日に強化されていくのが横で見ているとわかります。
下記のような4桁×1桁も、最初は苦戦しますが、繰り上がりを書かずにこなせるようになります。
なぜ公文が繰り上がり・繰り下がりを書かせないかについては、こちらの記事に書いています。
公文式のデメリット
・親の負担が大きい
・思考力を鍛えられない
・1を聞いて10を知る子には合わない
親の関与度は間違いなく高いです。
家庭学習の5日間、はじめのうちは横で見ていて、よくなったところをほめてあげたり、やる気をキープする親のサポートが大切です。
また、公文式のデメリットは、思考力を鍛えられないことです。
繰り返しですが、公文式ではスモールステップが設計されて、少しずつ進んでいきます。
これに慣れてしまうと、与えられたものをこなせば確実にステップアップできますが、どこかで卒業しないと、自分で考える力がつきにくいです。
とくに、
- 試行錯誤が好きな子ども
- 1を聞いて10を知るタイプの子ども
にとって、きめ細かすぎる公文の進度は合わない傾向があるようです。
こういったお子さんは、試行錯誤してわかる!という学びの喜び、本当のモチベーションを体感しているゆえに、先に進む達成感を報酬として、「疑似的」な快感をあたえる公文式は合いません。
AからBへ到達するのに、足りないものが何かを考え、埋めることに喜びを感じるタイプのお子さんにとって、
公文式は、AからBへ確実に到達できる階段を用意しているようなもの。
誤解していただきたくないのは、公文式が役立つ子はたくさんいます。
教科書よりきめ細かなステップのおかげで、ちゃんとこなせば確実にできるという大きな自信につながるからです。
また、算数についてはB教材、C教材から繰り上がり・繰り下がりを書かせないため
難易度が一気に上がります。
このあたりから進みがゆっくりになる子も増え、決して与えられた通りこなしていれば進める教材ではありません。
注意が必要なのは、「ちゃんとこなせば確実に前へ進める」という達成感、「自分はできる」という自己肯定感につながる一方で、
先取りしているおかげで簡単に満点が取れるという成功体験がアダとなり、「解き方を覚える」という勉強方法を変えられなくなる可能性があります。
公文式でみにつく学習習慣、自学自習の習慣はすばらしいものですが、
いつかは、用意された手順ではなく、自分で考えるフェーズに移らなければなりません。
そのためには、公文式をやめるタイミングが大切です。
公文式をやめるベストタイミング
中学受験をする場合は、幼児~低学年から公文式を始めて、小3~4年にやめ、塾に切り替えることだとわたしは考えています。
息子の通う教室でも、同じ傾向です。
本では、できる子、1を聞いて10を知る子は、公文式を早々にやめることが書かれています。
溝をどう埋めるか考える子が好きなお子さんに、ステップ幅の細かい公文式を無理に続けさせるのは逆効果ですので、お子さんのタイプを親が見極めてあげる必要があります。
また、方程式を学ぶ前にやめさせるのがいいと思います。
公文式では小学生に方程式を教えますが、これは特に良くないと感じています。
つるかめ算は、限られた条件でどう解くかを考える、脳のトレーニングです。
理数系学習塾エルカミノの代表である村上先生も自著で次のようにおっしゃっています(本の感想はこちらから)。
低学年のうちからこうした”便利な道具”を子どもに与えると、自分で考える力や工夫する習慣が身につかなくなってしまうからです。その結果、高学年になってから理系能力が伸びなくなり、計算や平面図形が苦手になってしまう子が、現実にたくさんいます。方程式を教えるなら、六年生になってからするべきなのです。
(中略)
小さい頃から苦労して面倒なことをやってきた子ほど自分から工夫するようになり、高学年になって理系能力がぐんぐん伸びていきます。
『人気講師が教える理系脳のつくり方』p54
公文式で学びたいところまで学び、学習習慣・自学自習の姿勢が身についたと感じたら、思い切って公文式を卒業することが大切です。
本で紹介されている「公文式をやってよかった」という方の多くは、正しいタイミングで公文式を卒業しています。
公文式を活かすかどうかは親次第
これから公文式に通おうか考えている方は、
✅理解を深める楽しさを奪う
✅(方程式などの)便利な道具によって試行錯誤する機会が奪われてしまう
という問題点が公文式にあることを理解したうえで、
●どういう目的で通うのか?
●どの程度学んだらやめるか?
この2点を最低限、クリアにしたうえで通うのを強くおすすめします。
わが家が再度、入会した理由
わが家が公文式に心底がっかりし、再度入会を決めた背景には、
●公文式について理解が不十分だった
●公文式算数に大きな可能性を感じた
この2つの理由があります。
きっかけは『数学に感動する頭をつくる』という本でした。
数学オリンピックへ行く子どもをたくさん見てきたプロの塾講師の方が書いた本です。
ある時、数学オリンピックへ行く子どもたちに、小さいころどんな参考書で勉強していたか栗田さんがたずねたところ、公文式をやっていた子がとても多かったといいます。
その中には、数学オリンピックの国際大会でメダルを受賞する子までいたようです。
このことから、公文式はそろばんのように、頭の中で計算する、暗算するといった「イメージする訓練」になることがわかったといいます。
本に、数学を得意な子にするための秘訣が書かれています(秘訣の一部を引用)。
これらの能力(本書で読む数感)を伸ばすにはどうすればよいのか。
まず五~九歳頃の時期に集中的に暗算をしてイメージする能力の基礎を作りなさい。次に「イメージする能力」を伸ばすには、基本的にはすでに理解したつもりになっている問題を、何回も何回も(紙や鉛筆を使わずに)頭の中で解きなおすことだ。
『数学に感動する頭をつくる』p226
紙に書かず、暗算を徹底させる必要性は、理数系学習塾エルカミノの村上先生もおっしゃっています。
算数が得意な子に育てたいなら、マニュアル通りで頭をほとんど使わない筆算ではなく、頭をどんどん使う暗算をさせるべきなのです。
『人気講師が教える理系脳のつくり方』p76
筆算は紙に書いて「45×36」を解くだけですが、
暗算であれば、「45」を「5×9」に分解したり、「36」を「18×2」に分解したり、工夫の仕方がいろいろあるからです。
算数を得意にする秘訣はこちらに書いています。
数学オリンピックを目指さないにしても、数学の楽しさに目覚めるベース作りとして、暗算力をきたえることが大切なこと、5歳から取り組むのが良いことが、上記2冊からわかります。
公文式に通い、しつこいほどの反復練習を目にして、やめるタイミングを間違えなければ、数学のベース作りにはとてもよいと判断しました。
再開から1年半たちますが、暗算力がつき、ワーキングメモリーが強化されていると感じています。
公文算数はスモールステップですが、繰り上がり・繰り下がりという「便利な道具」を与えない点では、
ある意味、脳トレ教材でもあるのですよね。
繰り返しですが、子どもが公文式に通ってうまくいくかどうかの大前提は、
✅親が公文式の内容、限界について理解しているか
✅通わせる目的を明確にしているか
がとても大事になってきます。
また、うちは子供の気持ちにも配慮して、1日5枚、10枚にはこだわらないようにしています。
算数を楽しむ気持ちはキープしてほしいので、1日の枚数を限定することはせず、
B教材までは1日5~10枚くらいやっていましたが、B教材以降は1日3~4枚に抑えています。
公文式の是非については、この本がとても参考になりました。
図形問題がない、文章問題が少ないと批判されがちな公文式ですが、上記のとおり、5歳からの計算力トレーニングが大切なことは知っておいた方がいいです。
次の2冊も早めに読まれるのを強くおすすめします。
公文式をやめてタブレット学習などに乗り換えようか迷っている方は、この2冊、特に『数学に感動する頭をつくる』を読んでから決められても遅くありません。
いろいろな本を無料で読みたい方にはKindle unlimitedがおすすめです。
今なら『数学に感動する頭をつくる』はKindle unlimitedで無料で読めます(2020年7月16日時点)。
Kindle unlimitedなら初月無料でほかの本も30日間読み放題です♪
公文式が合わないと思う方は
ここまで読まれて、
●うちの子には公文式は合わなそうだな
●わたしにサポートする時間を取れそうにないな
と思われた方には、通信教育がいいと思います。
通信教育の中には、親の関与度が高いものもありますが、付録が充実していて子どもが自発的に勉強できるよう工夫されているものもあります。
ぱっと見、どこも大差なく感じられますが、そうではありません。
各社の特徴を押さえておかないと、通信教育選びで失敗したり、逆効果になったりしますので、不要な失敗を避けるためにも以下の記事を参考にしてください。
幼児向け通信教育はこちらから▼
公文から切り替える子が多いタブレット教材RISU算数との比較が気になる方はこちらをご覧ください。
小学校低学年向けの通信教育はこちらから▼
小学生タブレット教材はこちらから▼
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